海外在住の日本人向けの情報交換掲示板で、海外在住の日本人団体発信のコラムサイトでかなりの頻度で見かけるトピック、それが「海外在住の日本人女性の行動を嘆く日本人男性」の意見だ。大抵、そういう記事または投稿は過度のジェネラリゼーションを特徴にし、「海外在住の日本人女性は頭が軽い、尻が軽い、日本の恥だ」と嘆いている内容のものが多い。例えば、最近見つけた記事で言えば
コレと
コレ。
はっきり言って良いですか?
これ、大仰な言葉で飾ってあるひがみだな(プ)
文章内で取り上げられる日本人女性たちの姿はある意味本当だと思う。外国人と付き合う人も、年に何度も日本と外国を行き来する学生も、休みを活用して旅行を楽しむ学生もいるだろう。でも、その人たちがあんたに迷惑をいつかけた?そこが問題なのである。いわば個人の領域と言ったことに口出しせずにはいられないこの手のお節介な日本人男性は残念ならが数多く存在するようだ。いつもは「ああ、また出たよ」と笑って見過ごすこの手の記事だが、最近ふと「でも、この人たちのひがみってどこから来てるんだろう?」と考え始めた。
よくある説をあげてみよう。
■一部の日本人男子は外国人男子に身体的コンプレックスを持っており、その劣等感を更に刺激するような日本人女子の外国人崇拝思想・行動がとにかく気に入らない。日本人女子x非日本人男子のカップルを見ると、全員が全員、自分をあざ笑っているようで許せない。
■日本人は日本人とくっつくべきであるという個人的な考えから、日本人女子がどんどん外国人男子とくっつく様を見て、自分の女を取られたような気がして焦っている。
うーん、どっちも一理くらいはあるかもしれないけど、私は今回敢えて上記とは別の推測を挙げたい。
それは、米国においての、日本人女性と日本人男性の占める「立場」と「人気」の差に所以してるんじゃないだろうかということ。
今からここで私が説明する私の言う立場と人気には、アメリカにおける日本人男子・女子へのステレオタイプの存在が大きく影響している事をまず理解して欲しい。
アメリカを始めとした欧米諸国に来ると、日本人女性は「なんか日本にいたときよりちやほやされてる気がする」といったような感想を抱くことが多い。金持ってそうだったり、優しくてつけこみやすそうに見えたり、身なりがきれいで好感度が高かったり、単なる西洋式ジェントルマンシップの表れであったり、理由は様々だと思うが、確かに日本人女性は同じ日本人の規準からしたら「え~!!」っていうような女子でも、その人が日本にいたときと比べれば、一般的にちやほやされ、よくもてる。良いか悪いかは別として、女として、パッと見、魅力となり得る要素をいっぱい持っているのだ。(金持ち、初対面の人当たりが良い、身なりが清潔、聡明、身長の低さ etc...)
日本人男性だって上記の素質を同じく兼ね備えている。しかし、彼らにとって悲劇なのは、欧米の大衆的規準で「男子」に求められる特徴がそれとはまた別であることだ。力強さ、包容力、身長の高さ、体躯の良さ、そういうものがパッと見ではなかなか伝わってこない。なんでも過剰なくらいアッピールして、わかりやすいものが好きな傾向にあるアメリカ人たちはその先を見ずして日本人男性に「体が貧相、なよなよしい、頼りなさげ」というレッテルを貼ってスルーしてしまいがちだ。日本人としての特徴が男子になると急に裏目に出てしまうのだ。(勿論一般的なアメリカ人の好みの範囲で言うとね。それがたまらない人だって中には勿論いる。前出の日本人女性の特徴に何も感じない男子もいるように)
すると、外国に来た日本人男性は、自分が男として認められないという屈辱的な思いを味わうことになるのじゃないかと。*私自身は男じゃないし、日本人男性自信がそう言っていることも直接は聞いたことが無いのでこれは憶測でしかないが。でも、少なくとも、海外に来た日本人女性ほどちやほやはされて無いはずだ。
すると、海外に来て、なんだか知らないがちやほやされる生活をエンジョイしてる日本人女子を横目に、「なんだかそれって理不尽ちゃうん?女だけちやほやしやがって!つーかお前らもっと俺を尊重しろ!」怒り出し、しかしその差別を生み出す帳の本人であるアメリカ社会にはどういって言いのかわからないもんだから、対象を替えて、日本人女性をバッシングして鬱憤を晴らす、というわけだ。
虐げられた人たちがまた更に誰か他のグループを見つけて差別の歴史をそこで繰り返すのは良くあることだ。英語で、dream up, blame downという言葉を以前聞いたことがある。簡略化されたフレーズなのでもう少し具体的に説明を加えると、「上(の立場の人間)を夢見て、下(の立場の人間を)を責める」という言い回しだ。上には不満があっても強く言えないで、誰か自分より弱い立場の人間をいじめてその鬱憤を晴らす、とでも言うともっとわかりやすいだろうか。階級社会にはお馴染みの現象だ。会社などの組織から、インドのカースト制度、アメリカやその他各地での人種差別に、果ては兄弟喧嘩の中にまでこの現象は共通してみられる。
日本人女性がどんなに海外で受けて人気を得ようとも、日本はもともと伝統的に男系社会の国。多くの日本人男子には、意識しないところでもなんとなく、女性を自分より立場の下のものとして軽視する思想が根付いている。彼らがこうして鬱屈した想いを公にぶつけられるのは、日本人女性だけしかいないのだ。いわば最後の糧。(アメリカを初めとした欧米社会そのものを極端に否定する輩もたまに出てくるが)
く~なんかそう考えたら、可哀想になってきた。
こんなことでしか不満を晴らせないんだなぁ。頑張れよ日本人男子、周囲の無関心を打ち破るのは結局自分の行動しかないんだよ。もっと欧米社会に、新しい価値観を植えつけてやれよ。日本人女子の行動を小姑並の執念で責めてたって、男は下がるばかりだぜぇ?