"Please, take this. This is very important for me."
電車の中でちらしを片手に話しかけてきた女性は、私が一度ちらしを見もせず首を振ると、もう一度そう懇願してきた。
何か言いがたい気迫のようなものを感じて、チラシだけなら、と受け取って見ると、「IF YOU SUSPECT TERRORISM CALL THE NYPD(テロの疑いを感じたら、NYPDに電話を)」と書かれた下に、具体的にどんな情報が役に立つかを列挙してあるシンプルな広報だった。
特に怪しいセールスなどでもなかったため、一度さっと目を通してから顔を上げると、その女性がじっとその様子を見つめていることに気が付いた。私ともう一度目が会うと、彼女は軽く会釈をして話し始めた。
「ありがとう。私は夫を9・11のテロで亡くしたの。つい先日ロンドンでもテロがあったし、こうして今も街の住人に注意を呼びかけるためにこのチラシをあちこちで配ったり張ったりしていたの。」
女性の身なりは、普通の主婦のもので、顔つきも立ち居振る舞いも、いわゆる高学歴のアクティビストのものとは思えない。そんないでたちと色気も素っ気もないシンプルなNYPDの広報用チラシが、彼女のストーリーの真実性を物語っていた。
私は彼女の勇気と、健気で地道な行動に心を打たれて、「私にも出来ることがあれば是非」と誓って、電車を下りた。
だから、彼女の意思を受け継いでこの記事を書こうと思う。
NY、そして世界中のテロが予想される地域へお住まいの方々へ。
テロの疑惑を感じたら、どんなことでも、お近くの警察または公安団体のホットラインにご連絡ください。「まさか、でも、もしかしたら…」っていう不確かな段階の情報でもいいんです。小さな情報があなたとあなたの大切な誰かの命が危険に晒されるのを未然に救うかもしれない。もし、なんらかの事件に遭遇してしまったら、それが海外で、旅行中などの身だったりすると目撃者として名乗り出たときに、アメリカなど国によってはさまざまな面倒や不利が生じることがありますが(裁判の度にもう国外にいても呼び出されたりする。勿論渡航費用は自分もち。法廷への出席を拒否すると二度とアメリカに滞在するビザが発行されなくなるなどのペナルティもある)情報提供だけなら話は別です。情報源は勿論公には明かされませんし、情報が間違っていても責任を問われる必要はありません。
情報提供の際に、必要とされるのは以下の情報です。
人物の場合
1 性別
2 人種
3 大まかな年齢
4 身長(5センチくらいの間隔でより詳しく)
5 体重(5キロくらいの間隔でより詳しく)
6 体格(痩せ型、中くらい、筋肉質、など)
7 髪の色(色、長さ、顔やその他の毛なども)
8 肌の色(明るめ、暗め、オリーブががったなど)
9 特長(傷の後やタトゥー、四肢の欠如など)
10 服装(頭のてっぺんからつま先までより詳しく)
11 武器(もしあれば)
12 逃亡の手段、方向、乗り物(もしあれば)
乗り物の場合
1 ナンバープレート(一番重要です)
2 モデル、製造年型、車種
3 種類(2ドア、4ドア、4WD、ミニバンなど)
4 他の乗客の有無、数
5 損傷具合、特徴など(ロゴマークや、傷など)
いかなる場合も、テロの危険を感じた場合は、単独で直接の行動には出ないでください。
NYPDホットライン
1-888-NYC-SAFE
(1-888-692-7233)